スーツ代は経費で落ちるの?

サラリーマンが支払うスーツ

サラリーマンの制服として定番のスーツ。毎月の給料から工面してスーツを買うのですが、会社がスーツを買ってくれたらなぁ。と思いませんか。その点、メーカーの制服は会社支給の作業着。当然作業着に誇りをもって仕事をしています。スーツを会社支給とはいかないまでも、せめて経費で落として税金を安くする方法はないのでしょうか?

特定支出控除を使えばスーツも経費で落ちる!

基本的にサラリーマンなどの給与所得者には実費の経費は認められていません。しかし、給与の総支給額に応じて概算で一定金額を経費として控除しています。いわゆる、給与所得控除というものです。
しかし、特定支出控除の要件に該当すれば、スーツ代も経費で落とせます。

特定支出控除とは?

特定支出控除とは、次の費用が一定の金額を超えた場合には、その超えた費用を経費として認めましょうという制度です。
❶通勤費
❷転居費
❸研修費
❹資格取得費(弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も含みます。)
❺帰宅旅費
❻次の費用で、会社から証明を受けたもの(65万円を限度)
(a)図書費
(b)衣服費
(c)交際費等
この(b)衣服費の中にスーツ代が含まれています。

一定の金額を超えないとダメ。

上記の特定支出をしたとしても、次の金額を超えないと経費にはなりません。

その年の給与の収入金額 特定支出控除額の適用判定の基準
1,500万円以下 その年の給与所得控除額×1/2
1,500万円超 125万円

ちなみに、平成27年4月時点の給与所得控除の金額は、次の様になっています。

給与等の収入金額(源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超  15,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
15,000,000円超 2,450,000円(上限)

したがって、給与が400万円の場合には、67万円(400万円×20%+54万円÷2)を超えた部分が経費として認められます。

まだまだハードルは高い?

年収400万円で、67万円以上を自己研鑽の資格取得や図書費などに使わないとスーツ代だけでは67万円を超えないでしょう。超えたとしても会社からの証明はかなり厳しいと思います。資格取得には結構コストがかかりますので、資格取得を目指している人には可能性があるかもしれません。ただし、職務に直接必要な資格となっていますので税理士法人や事務所で働いている方が税理士の資格取得のために支出した場合など、適用できる場合は限定的です。

個人事業主が支払うスーツ代

では、個人事業主の経費としてスーツ代は認められるのでしょうか。過去の裁判例から、スーツ代は経費として認められないというのが、一般的意見のようです。では、その裁判ではどのような判断をしたのでしょうか。

スーツ代が論点となった裁判(京都地裁昭和49年5月30日判決)

過去にスーツ代が論点となった裁判では、当時の裁判官は次のように判断しています。

「被服はひとり給与所得者に限らず、誰もが必要とし、その種類、品質、数量等は個人の趣味嗜好によつてかなりの差異があり、耐用年数についてもかなりの個人差が存するものであるから、被服費は、一般的には、個人的な家事消費たる家事費に属すると解するのが相当である。しかし、例えば、警察職員における制服のように、使用者から着用を命ぜられ、かつ、職務遂行上以外では着用できないようなものについては、その被服費の支出は、勤務のために必要なものとして、給与所得の必要経費を構成するものと解すべきであるし、かような特殊な職業に従事する者ではないその他の一般の給与所得者についても、専ら、または、主に家庭において着用するのではなく、これを除き、その地位、職種に応じ、勤務(ないし職務)上一定の種類、品質、数量以上の被服を必要とする場合には、その被服費の支出は勤務についても関連するものとして、家事費ではなく、家事関連費であると解するのが相当である。」したがって、「背広等の被服費の支出も、勤務上必要とした部分を、他の部分と明りように区分することができるときは、当該部分の支出は必要経費になると認める余地がある。」

スーツ代は家事関連費?

この裁判は、ある大学教授が確定申告をしなかったため税務署から税金を決定されたのですが、その際給与所得控除について給与所得者に対し著しく不公平だとして、スーツ代なども必要経費である。などとして争ったケースです。
判決は、スーツ代を家事関連費として勤務上必要とした部分を他の部分と明りように区分することができるときはその部分を必要経費として認める余地があるとしたものの、「原告がその主張する被服費を支出したとの事実を認めるに足りる証拠がない」として大学教授の訴えを退けました。
このように過去の裁判ではスーツ代は家事関連費であり、事業用部分を明瞭に算定すれば必要経費との考えを示しています。

個人事業主の場合は事業専用割合で按分。

個人事業主の場合には、正確な事業専用割合を算定すれば、税務調査があったとしてもスーツは必要経費として認められる可能性は高いでしょう。特にサラリーマンのように営業活動をしている個人事業主(例えば保険外交員など)は、給与所得者は特定支出で認められているのだからという視点からも認められやすいと思います。

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